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クレアチンを飲み始めてから、体重が1〜2kg増えた。「これって脂肪?」「筋肉がついたの?」と不安になる人は少なくありません。この記事では、増えた体重が水分によるものかどうかを見分ける方法と、減量中の人の対処法を整理します。
この記事の結論
POINT
- 飲み始めの体重増加は、主に筋肉内の水分と考えられている
- 水分の増加は最初の数日〜2週間で起き、その後は横ばいになるのが典型的
- 脂肪が増えるときは、摂取カロリーの増加を伴い、体重が増え続ける
- 体組成計の体脂肪率・筋肉量は水分の影響を受ける。数値を鵜呑みにしない
- 減量中や階級別競技の人は、ローディングを避けて1日3gから始め、時期を逆算して判断する
クレアチンで体重が増える理由
クレアチンは、筋肉の中に「クレアチンリン酸」という形でたくわえられます。サプリで摂ると筋肉内のクレアチンが増え、それに伴って水分も筋肉の細胞内に移動すると考えられています(仕組みそのものは、まだ仮説の段階です)。
3日間クレアチンを摂った男性10人の研究(Ziegenfussら、1998年)では、生体電気インピーダンス法で体液量を推定したところ、細胞内の水分は増えた一方、細胞外の水分には有意な変化がありませんでした。この研究では、体重増加の約90%が総体水分の増加で説明されたと報告されています。
この研究は、短期間・少人数・推定値という限界があります。それでも「体重増加の大部分は水分で、しかも細胞の中」という方向性は、その後の整理とも一致しています。2021年にスポーツ栄養の研究者らがまとめたレビュー(JISSN)は、水分貯留が最初の数日で起こる可能性は否定できないものの、起きても一時的だとしています。「クレアチンが脂肪を増やす」という話も、同レビューでは“よくある誤解”の一つとして取り上げられています。
「体重が増えた=筋肉がついた」とは限らない
クレアチンは、トレーニングの質を上げて筋肥大を後押しするとされます。ただし、MRI・CT・超音波で筋肥大を測った10研究のメタ分析(Burkeら、2023年)では、クレアチンの上乗せ効果は「ごく小さい〜小さい」と評価されています。飲み始めの体重増加を、そのまま筋肉の増加と考えるのは早計です。
どのくらい増える?いつまで続く?
先ほどの研究の冒頭では、短期間のローディングでの体重増加は約0.9〜1.7kgと紹介されています。ただし、研究内でのばらつきは大きく、個人差があります。
| 摂り方 | 体重の動き(目安) | 備考 |
|---|---|---|
| ローディング (1日20g前後を数日) | 数日で1kg前後〜1.7kg程度の増加が報告されている | 個人差が大きい。胃腸の不快感が出ることも |
| 1日3〜5gを継続 | 数週間かけて穏やかに増えると考えられる | 筋肉内のクレアチンが満たされるまで3〜4週間ほど |
筋肉内のクレアチンが満杯になれば、水分の増加も止まると考えられます。つまり、水分による増加は無限には続かず、どこかで頭打ちになるのが特徴です。ここが、食べ過ぎによる脂肪の増加と大きく違う点です。
水分か脂肪か、見分けるポイント
決め手になるのは、増え方のパターンです。水分は最初に段差状に増えて横ばいになり、脂肪は摂取カロリーが多い限り、増加が続きます。
チェックの目安
| 項目 | 水分が主な場合 | 脂肪が増えている場合 |
|---|---|---|
| 増え始め | 飲み始めから数日〜2週間以内 | 飲み始めの時期とは関係なく、食事量が増えた頃から |
| その後の推移 | 増えたあと横ばいになる | 増加が続く |
| ウエスト | ほとんど変わらない | 少しずつ増える |
| 食事量 | 飲み始める前と変わらない | 間食・外食などで以前より増えている |
| やめたあと | 数週間で戻っていく傾向 | 戻らない |
判断に使う記録のとり方
- 体重:毎朝、起床後・トイレのあとなど同じ条件で測り、7日間の平均で見る(1日の増減に振り回されない)
- ウエスト:へその高さで週1回。体重が増えてもウエストが動かないなら、脂肪の増加は考えにくい
- 食事:飲み始めの前後で、1日の食事量や間食が変わっていないか振り返る
- トレーニング:重量や回数が落ちていないか。パフォーマンスが維持・向上しているなら、体の状態は悪くない
こんなときは受診を
短期間で急に体重が増えたうえに、足や顔のむくみ、息切れ、尿が極端に少ないなどの症状がある場合は、クレアチン以外の原因(腎臓・心臓など)の可能性があります。サプリを中止して、早めに医療機関を受診してください。
体組成計の数値はあてにならない?
体組成計(家庭用のBIA方式)は、体に弱い電流を流して電気抵抗を測り、そこから体脂肪率を推定しています。測定しているのは脂肪そのものではありません。
体脂肪以外の「除脂肪量」には、体内の水分も含まれます。そのため、体内の水分が変わるだけで、除脂肪量や体脂肪率の数値が動きます。除脂肪量の増減は、筋肉の増減とは限りません。
注意
クレアチンを飲み始めたあと、体組成計の「筋肉量」が増えても、水分が加わっただけの可能性があります。筋肉がついたかどうかは、トレーニングの重量・回数や、メジャーで測った部位の太さも合わせて判断しましょう。
体組成計を使う場合は、時間帯・食事や運動・入浴の前後をそろえて測り、1回の数値ではなく推移で見るのが基本です。
減量中・階級別競技の人はどうする?
減量中や、計量のある競技(ボクシング、柔道、パワーリフティングなど)では、体重の数字がそのまま結果に影響します。次の点を考えて判断してください。
- ローディングは避ける:短期間で急に体重が動きやすくなります。1日3gから始めて、変化を見ながら調整する
- 時期を逆算する:水分による増加は、やめたあとも戻るまで数週間かかる傾向があります。計量日が近い時期に飲み始めたり、やめたりするのは避け、余裕をもって計画する
- 体重だけで評価しない:減量の進み具合は、ウエストや見た目、トレーニングの重量も合わせて確認する
- 迷ったら専門家に相談:階級別競技では、コーチやスポーツ栄養の専門家と時期・量を相談する
体重増加が気になるときの対処法
1. ローディングをしない
最初に大量に摂ると、体重の増え方が急になります。急がないなら、1日3〜5gの継続で十分です。
2. 1日3gから始める
体格が小さい人や、体重の変化に敏感な人は、3gから始めると変化が穏やかです。
3. 体重は週平均で見る
毎日の体重に一喜一憂せず、7日間の平均の推移で判断します。最初の2週間は、水分の増加を織り込んで見ましょう。
4. 食事量は変えない
飲み始めたタイミングで食事量を増やすと、体重増加の原因が分からなくなります。最初の数週間は、食事は今までどおりにしておくのがおすすめです。
5. 目的に合わなければ、やめる選択も
体重増加が競技や目標に合わないなら、中止して構いません。やめたあと、筋肉内のクレアチンが減るのに伴って、水分による増加分も数週間かけて戻っていく傾向があります。
水分を減らそうとして、自己判断で極端な水分制限をするのはおすすめしません。
よくある質問
Q. 水分が増えると、むくんで見える?
先ほどの研究では、細胞外の水分(皮下などにたまる「むくみ」にあたる水分)には有意な変化がありませんでした。筋肉の中に水分が増えるため、皮下のむくみとは別物と考えられます。ただし、見た目の感じ方には個人差があります。
Q. ローディングをしなければ、体重は増えない?
増え方は穏やかになると考えられますが、まったく増えないとは言い切れません。個人差があります。
Q. 体重が増えたら、やめたほうがいい?
水分による増加なら、健康上の問題ではありません。やめるかどうかは、目的(筋トレか、階級別競技の減量か)で判断してください。
Q. 体組成計の筋肉量が増えた。筋肉がついたということ?
水分の影響で数値が増えている可能性があります。トレーニングの重量・回数、メジャーでの測定も合わせて判断しましょう。
まとめ
クレアチンを飲み始めたときの体重増加は、主に筋肉内の水分と考えられていて、最初の数日〜2週間で起き、その後は横ばいになるのが典型的です。脂肪が増える場合は、摂取カロリーの増加を伴い、体重が増え続けます。7日間の平均体重とウエスト、食事量の記録があれば、水分か脂肪かはかなり見分けられます。減量中や階級別競技の人は、ローディングを避けて、時期を逆算して判断してください。
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参考文献・参考情報
- Ziegenfuss TN, Lowery LM, Lemon PWR. Acute fluid volume changes in men during three days of creatine supplementation. JEPonline. 1998;1(3).(ASEP掲載ページ)
- Antonio J, et al. Common questions and misconceptions about creatine supplementation: what does the scientific evidence really show? J Int Soc Sports Nutr. 2021.(NutraIngredientsの解説記事を参照)
- Burke R, et al. The effects of creatine supplementation combined with resistance training on regional measures of muscle hypertrophy: a systematic review with meta-analysis. Nutrients. 2023.(解説記事を参照)
- 体脂肪率の測定誤差について(athletebody.jp)
