映画を観る前に「面白いかな?」と迷うことは多いでしょう。そこで便利なのがレビュー集約サイト。「Rotten Tomatoes(ロッテン・トマト)」はその代表格です。今回は、初心者にもわかりやすくこのサイトの目的とスコアの仕組みを解説します。

Rotten Tomatoesとは何か?
Rotten Tomatoes は、アメリカ発のレビュー集積サイトで、1998年に設立されました。映画やドラマについて、世界中のプロの批評家(Critics)と一般ユーザーの評価をまとめて閲覧できるのが特徴です。
運営母体はFandango(Comcast系)で、映画チケット販売などとも連携しています。創業当初はカンフー映画のレビューサイトとして始まりましたが、20年以上たった今では、映画選びの判断材料として世界中で利用されている信頼性の高いプラットフォームです 。
🔗 Rotten Tomatoesのサイトはこちら
Rotten Tomatoesは、公式サイトから誰でも無料で閲覧できます。
▶️ 公式サイト: https://www.rottentomatoes.com/
ログインなしでもスコアやレビューが見られるので、映画を観る前や観た後にチェックするだけでもOKです。
独自のスコア指標:Tomatometer と Popcornmeter
● Tomatometer(批評家スコア/批評家評価)
- プロの批評家のレビューを全て「肯定」と「否定」に二分して集計し、肯定率を表示するシステムです。
- 肯定レビューが 60%以上で「Fresh(フレッシュ=優れている)」、59%以下で「Rotten(ロッテン=評価が低い)」とみなされます 。
- さらに、Critics Consensus(批評家総評)として、代表的な意見をコンパクトに要約したコメントが掲載されます。
Certified Fresh(認定フレッシュ)と呼ばれるバッジは、
- Tomatometerが75%以上で、
- Top Criticsによるレビューが最低5件以上あり、
- 十分な数の批評が投稿されている場合に付与される特別な評価です。

● Popcornmeter(観客スコア/ユーザー評価)
- 一般ユーザーによる評価を「ポップコーン」アイコンで表示。
- 評価は星3.5以上を「肯定」と判断し、肯定率がスコアとなります 。
- 特に信頼度の高いVerified Ratings(購入確認済みユーザー評価)には、「Verified Hot」バッジが付く仕組みです 。
ユーザー評価と批評家評価を組み合わせることで、“映画の評価を偏りなく摑める”ように設計されています。
スコアの落とし穴?誤解しやすい点
- Tomatometer=評価の平均点ではない
多くの人が「90%の映画は9/10くらい面白い」と誤解しますが、実際は「レビューの90%が肯定的だった」という意味です。同じ評価割合でも、中身が大きく異なるケースがあります。 - 「Rotten」は必ずしも“最悪”ではない
肯定率59%以下でも「刻々と変化する評価」なので、評価が低い映画でも面白い部分はあるかもしれません。 - レビュー数とスコアの安定性
レビュー数が少ない作品ではスコアが不安定。最低5件の批評が集まるまでTomatometerは表示されません。 - レビューの質の差
中にはプロ批評家でもひいき目に書く記事もあり、サイト側が「Fresh/Rotten」を判断するプロセスも見えづらいため、レビューの信頼性に差が生まれることもあります。
見方の流れ:どう使えばいいか?
- 興味がある映画のページにアクセス。
- Tomatometer(赤トマト/緑スプラット)を確認。
- Audience Score(ポップコーンアイコン)もチェック。
- 次に、Critics Consensusを読む。
- 批評家レビューやユーザーレビューを個別に確認(気になる意見があれば深掘り)。
- Certified Fresh や Verified Hot の有無も評価の補助になる。
特に、「批評家と観客で評価が大きく異なる作品」には注目。自分の趣味に合うかどうかの判断材料になります。
Rotten Tomatoesを使うメリットとは?
- 短時間で大まかな評価傾向を掴めるので、映画・ドラマ選びのスタートに最適。
- プロと観客双方の評価が並列で見られるため、偏った印象に逃げずにバランス確認ができます。
- Certified FreshやConsensusを読むことで、見るべき理由・見なくていい理由が一目で分かる。
ただし、批評家の偏りや文化差(アメリカ寄り)もあるため、過信せず「参考値」として使うのが賢いやり方です。
Rotten Tomatoesをどう活用すべきか?
Rotten Tomatoesの最大の利点は、レビューを瞬時に視覚化できる点です。ただし、「高得点だから必ず自分に合う」「低得点だからダメ」ではないのが映画の面白さ。
Rotten Tomatoesの賢い使い方をいくつか紹介します。
● 映画を観る前に「地雷回避」チェック
観る前にTomatometerが30%台など、あまりにも低い場合は「なぜ低評価なのか」を確認しておくと安心です。たとえば、「演出は斬新だけど物語が薄い」「原作ファンに不評」などの理由が見えてくることがあります。
● 評価が割れている映画に注目
TomatometerとAudience Scoreの差が激しい場合、「問題作」や「賛否両論の話題作」であることが多いです。例えば、「Netflixオリジナル」「アート寄りの映画」「政治的メッセージが強い映画」などは、このパターンに当てはまります。
● 過去作を探すときの参考に
「この監督の作品って評価高かったっけ?」「主演俳優の代表作って何?」という時も、フィルモグラフィ一覧から各作品のスコアをざっと比較できます。意外な名作との出会いもあります。
他のレビューサイトとの違い
Rotten Tomatoes以外にも映画の評価サイトは複数ありますが、それぞれに特徴があります。
サイト名 | 特徴 |
---|---|
IMDb | 世界中の一般ユーザーによるスコア。10点満点評価。娯楽映画が高得点になりやすい傾向。 |
Metacritic | プロ批評家の点数平均(0〜100点)。数値化された評論の平均で、より厳密。 |
Filmarks(日本) | 日本ユーザー中心。レビュー数は多いが、ライト層寄り。星評価制(5点満点)。 |
Rotten Tomatoesは、点数平均ではなく「何割が好意的か」を見るユニークな指標なので、MetacriticやIMDbと併用することで、より立体的な評価判断が可能になります。
批評家と観客でスコアが分かれる理由
ここが多くの人が疑問に思うポイントでしょう。「批評家は高評価なのに、観客はボロクソ」「逆に、観客は大絶賛なのに批評家は冷たい」……なぜこのようなギャップが起こるのでしょうか?
理由①:観る目的の違い
- 批評家は「作品としての完成度」「ジャンルとしての革新性」「構成・脚本の論理性」などを重視。
- 一般観客は「楽しめたかどうか」「感情が動いたか」「エンタメ性があるか」が評価の軸。
たとえば『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は、批評家からも観客からも高評価ですが、一方で『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のような多層的で哲学的な作品は、観客の好みがはっきり分かれます。
理由②:文化・政治的背景
映画によっては、政治的な主張や社会的メッセージが含まれる場合があります。批評家の多くはリベラル傾向があるため、その主張に共感して高評価をつけることがありますが、観客側には「説教臭い」「押し付けがましい」と反発する人も。
- 『キャプテン・マーベル』や『ゴーストバスターズ(2016年)』などは、フェミニズム要素が評価を分けました。
理由③:熱心なファン層とアンチの存在
ファンが多い作品(アメコミ映画、スター・ウォーズなど)は、観客スコアが高く出やすく、逆に「シリーズ改変」や「主演交代」などに反発する層がいると低く出る傾向があります。
いわゆる「レビュー爆撃(review bombing)」という行為で、意図的にスコアを下げようとする人々が存在するのも現実です(Rotten Tomatoesでは2020年代以降、これに対応するため「Verified Audience Score」制度を導入)。
観るべき?やめとくべき?判断のコツ
Rotten Tomatoesでの評価を参考に映画を選ぶ場合、以下のようなポイントで判断すると失敗が少なくなります。
- Tomatometerが高い×Audienceも高い → 安定して面白い名作の可能性大
- Tomatometerが高い×Audienceが低い → 内容が難解、社会的メッセージが強い
- Tomatometerが低い×Audienceが高い → ファン向け作品、エンタメ色強め
- 両方が低い → 本当に評判が悪いか、公開直後でデータが少ない可能性もあり
特に評価が真逆の場合は、トレーラーや批評家コメントを読んで、自分の好みに近いか判断すると良いでしょう。
結局、Rotten Tomatoesを信用すべき?
Rotten Tomatoesはあくまで「全体の傾向」を示すツールです。
「観客スコアが90%だから絶対面白い」ということはありませんし、「批評家評価が50%だから観ない方がいい」と一概には言えません。
それでも、短時間で多くのレビューを視覚的に判断できるという点で、映画好きにとっては非常に有用なサイトです。
✨まとめ:使いこなせば映画ライフがもっと豊かに
- Rotten Tomatoesは、批評家と観客の評価を視覚的に比較できる映画レビューサイト。
- 評価の仕組みを理解すれば、表面的なスコアに惑わされず判断できる。
- 批評家と観客の評価が割れる背景には、評価軸の違いや政治的メッセージ、熱狂的なファン文化がある。
- 他のサイト(IMDb・Metacritic)と組み合わせて活用するのがおすすめ。
映画を選ぶときの「迷い」や「不安」を軽減し、納得のいく視聴体験をサポートしてくれる。それがRotten Tomatoesというツールの本当の価値です。