はじめに
世界中で高い評価を受けている日本の和牛。その理由のひとつには、品質を厳密に評価するランク付けの仕組みがあります。このランク付け制度によって、和牛の品質が確保され、消費者に安心して提供されるようになっています。しかし、「A5ランク」といった言葉を耳にしても、具体的に何を意味しているのかを正確に理解している人は少ないかもしれません。
和牛のランクってどうやって決まるの？
筆者これから、その仕組みを詳しく見ていきましょう
この記事では、和牛のランク付けがどのように行われているのか、その基準や背後にある考え方について詳しく解説します。
和牛の評価基準は？
和牛のランク付けは単なる「おいしさ」だけを評価するものではありません。ランク付けの基準には、肉質や脂肪の質、さらには見た目の美しさまで、さまざまな要素が含まれています。
筆者実は、見た目も品質評価の重要なポイントです。
和牛のランク付けが消費者にとってどのような意味を持つのか、そして生産者にとっての挑戦とは何かを探っていきましょう。
ランク付け
1. 和牛のランク付けの基本構造
和牛のランク付けは、「歩留まり等級」と「肉質等級」の2つの要素に基づいています。このランク付けは、日本食肉格付協会（JMGA）が制定した基準に従って行われ、専門の検査員によって評価されます。
歩留まり等級
まず、「歩留まり等級」とは、牛1頭からどれだけ効率よく食用肉が得られるかを示す指標です。これは、次の3段階で評価されます：
- A：標準以上（最も高い効率）
- B：標準
- C：標準未満
読者つまり、Aランクの方がたくさん肉が取れるってこと？
筆者その通りです！生産者にとっても効率の良さは重要なポイントですね。
肉質等級
次に、「肉質等級」は4つの項目を基準に評価され、それぞれ1～5のスコアが付けられます。
- 脂肪交雑（霜降り）：肉に含まれる脂肪の分布状態。
- 肉の色沢：肉の色合いや鮮やかさ。
- 肉の締まり及びきめ：肉の質感や繊維の細かさ。
- 脂肪の色沢及び質：脂肪の色や質感。
これらのスコアを総合して、肉質等級は1から5までの段階で評価されます。例えば、脂肪交雑が非常に優れていると5、平均的だと3、といった具合です。
ランク付けの仕組み
「A5ランク」という表現は、この2つの等級を組み合わせたものです。たとえば：
- A5：歩留まり等級がAで、肉質等級が5。
- B4：歩留まり等級がBで、肉質等級が4。
したがって、A5ランクは最高品質の和牛を意味します。
読者A5ランクって本当に特別なんですね！
評価基準の詳細
脂肪交雑の役割
脂肪交雑、いわゆる「霜降り」は和牛の特徴的な魅力です。この霜降りは、脂肪が筋肉内に細かく分布している状態を指します。この分布が良いほど、肉はジューシーで柔らかく、風味豊かになります。
肉の色と質感
和牛の肉は、鮮やかな赤みを帯びた色合いが理想とされます。また、締まりがあり、きめ細かい肉質は、高品質の証です。
脂肪の質
脂肪は単なるエネルギー源ではありません。和牛の脂肪は融点が低く、舌の上でとろけるような感触が特徴です。この質の高さが、和牛を他の牛肉と差別化するポイントとなります。
これまでに見てきたように、和牛のランク付けは非常に詳細な基準に基づいて行われています。歩留まり等級と肉質等級の2つの軸で評価されるこのシステムは、消費者にとっての安心感と、和牛の価値を高める役割を果たしています。
懸念点
しかし、和牛の人気が定着した半面、様々な問題も生じてしまっているんです。
霜降りの多いA5ランクの牛が人気になった影響で人気の種の牛ばかりを交配させていたせいで、遺伝的多様性が失われ、出産数が減少したり、風味が損なわれたりしてしまっています。
筆者評価を上げようとしたせいで、似たような牛しかいなくなっているんですね。
そんな中である種類の牛が注目されてきているんです。
日本最古の牛「竹ノ谷蔓牛」の魅力とは
読者「蔓牛」って何なんですか？
「蔓牛」とは西日本の中国地方の和牛生産地帯で古くから用いられている用語で体型や能力に優れた特徴を有し,かつその形質を確実に子孫に遺伝する優良系統を“蔓”と呼び,その系統に属する個体を蔓牛と呼んでいます。
竹ノ谷蔓牛は、岡山県新見市の竹の谷地域で生まれた和牛の血統であり、その歴史は1830年（天保元年）にまで遡ります。当時、難波千代平氏が優良な雌牛を得て、その子孫を繁殖させることで「竹の谷蔓」と呼ばれる優良な牛の系統を確立しました。この系統は「日本最古の蔓牛」として知られ、現在の黒毛和種の基礎を築いたとされています。
竹ノ谷蔓牛の特徴は、その優れた体格と温厚な性格、そして高い繁殖能力にあります。
特に、赤身の発達が良く、脂肪交雑が少ないため、濃厚な旨味としっかりとした肉質を持っています。また、自然豊かな環境で育てられることから、ストレスが少なく、健康的な肉質が保たれています。
筆者最近トレンドの脂の多い肉とは正反対なんですね。
持続可能性への取り組み
竹ノ谷蔓牛の生産者たちは、持続可能な農業にも力を入れています。地域の環境保全を考えた放牧や飼育方法により、自然と共生する形での生産が行われています。例えば、「竹の谷Labo」という岡山の農家集団は、竹ノ谷蔓牛の再現に取り組んでおり、年に1〜2頭の出荷を行っています。彼らは、選別された牡牛を計画的に交配させ、優良な形質を持つ牛を育成することで、竹ノ谷蔓牛の特徴を再現しようと努めています。
まとめ
竹ノ谷蔓牛は、その希少性と特別な背景から、和牛の中でも非常にユニークな存在です。自然環境で育てられたその肉質は、他のブランド牛とは一線を画し、一度味わう価値があります。
次回、和牛を選ぶ機会があれば、ぜひ竹ノ谷蔓牛を候補に入れてみてください。その味わいだけでなく、持続可能な取り組みを支えるという選択が、きっと新たな満足感をもたらしてくれるはずです。
