【ブランドニューデイ考察】MJの記憶はいつ戻る?
ラストのあのシーンが意味することと
続編への伏線を完全解説
映画館を出た後、しばらく歩けなかった人が多いと思う。アクションシーンの興奮ではなく、MJが発したあの一言のせいで。「私はあなたを覚えていないし、もうあなたを愛してもいない」——これを言われたピーターの顔を思い出すだけで、また胸が痛くなる。 でも、この映画をよく見ると、MJの記憶問題は「解決できない悲劇」ではなく、「続編に向けて意図的に残された宿題」だということが分かってくる。その根拠と、記憶が戻る可能性のある3つのシナリオを考察します。
まず整理:なぜMJはピーターを忘れているのか
本題に入る前に、ノー・ウェイ・ホームで起きたことを簡単に振り返っておく。
ピーターはマルチバースの混乱を収束させるため、ドクター・ストレンジに究極の呪文を依頼した。その内容は「地球上の全人類からピーター・パーカーの存在の記憶を消す」というもの。ミシェル・ジョーンズ(MJ)もネッドも、ハッピーも、ピーターを知る全員の記憶が消えた。
ピーターはその後、4年間ずっとMJとネッドの大学生活をSNSから密かに見守り続けた。MIT卒業後にニューヨークへ戻ってきた二人と偶然再会しながらも、真実を伝えることができないまま時間だけが過ぎていった。「いつかすべてを説明する」と誓ったノー・ウェイ・ホームの約束は、4年越しでもまだ果たされていない。
本作でMJとピーターの間に何があったか
記憶のないMJと、覚えているピーター
ブランド・ニュー・デイでMJはすでに別の彼氏がいる。映画はそれをはっきりと見せる。ピーターはその事実を知りながら、遠くから彼女を見守り続ける。「片想いにすらなれない」という状況だ。記憶がある側だけが苦しみ続ける非対称な痛みが、この映画の感情的な核になっている。
ジーン・グレイによる「最悪のどんでん返し」
物語の中盤、テレパシー能力を持つジーン・グレイがMJの体を乗っ取り、スパイダーマンに接触するシーンがある。ピーターは相手がMJだと思って会話をし、キスをする。しかし中身はジーン・グレイだった。
このことを後から知ったピーターはMJに謝罪する。するとMJは、ピーターが手紙のことを隠していたことを知り、正面から怒る。
このセリフは、実はゼンデイヤ自身がノー・ウェイ・ホームのラストに対して感じていた違和感を反映している、とも言われている。「ピーターが勝手に記憶を消すことを決めた」という行動への、MJ視点からの批判が作中に織り込まれているのだ。そしてMJはそれを知った上で、はっきりと言い切る。
無理もない言葉だ。彼女にとってピーターは「記憶にない知らない男性」でしかない。それでも映画はここで終わらない。
なぜネッドは思い出せてMJはまだ思い出せないのか
本作のエンディングで最も重要なのが、ネッドが記憶を取り戻すシーンだ。なぜネッドだけが先に思い出せたのか。ここには呪文の明確な仕組みがある。
ノー・ウェイ・ホームの呪文は「全員がピーター・パーカーを忘れる」ものだったが、例外条件がある。ピーター本人が直接「自分はピーター・パーカーだ」と告げた相手は、記憶を取り戻せる可能性がある。
本作のラストで、ピーターはスパイダーマンとしてネッドに自ら正体を明かす。その瞬間、ネッドは「Peter?」と呼び、記憶が戻ったことが示される。
一方、ピーターはMJにはまだ正体を明かしていない。だからMJの記憶はまだ戻っていない。これは「続編でピーターがMJに正体を明かす場面」への直接的な伏線として機能している。
- ピーターが自らネッドに正体を明かした
- ネッドは魔法使いの血筋を持つ(ホームカミング以降で判明)——呪文への抵抗力があった可能性
- 二人で長年やってきた「お馴染みの握手」を体が覚えていた
- ピーターがMJに正体をまだ明かしていない
- 「守るために言えない」というピーターの葛藤が続いている
- MJには新しい彼氏がいる——ピーターが踏み出せない
ラストに「絵を描くMJ」が意味すること
映画の終盤、MJはスパイダーマンとネッドが一緒にいる姿を絵に収める。このシーンの意味するところが、本作で最も重要な「希望のシグナル」だと思う。
MJはピーターを覚えていない。でも、何かを感じている。説明できないけれど、このスパイダーマンとネッドの組み合わせを見た時に、何かが引っかかる——そういう「無意識の記憶の断片」が絵として描かれる。
そしてラストで病院を訪れたMJが、入院中のピーターに少しだけ心を開く場面がある。記憶はない。愛情もまだない。でも何かが「この人は特別だ」とMJに感じさせている。
「ブランド・ニュー・デイ」というタイトルの本当の意味は、「過去を取り戻す物語」ではなく「新しい始まりの物語」だということだ。失われた過去をそのまま取り戻すのではなく、今を生きる彼らと、新たな関係を一から始めていく。これが本作の結末が選んだ答えだった。
つまり続編でMJの記憶が戻ったとしても、「ノー・ウェイ・ホーム以前に完全に戻る」ことはないかもしれない。記憶が戻ることと、関係が元通りになることは、別の話だ。
MJの記憶はいつ戻る?3つのシナリオ
続編に向けて考えられるシナリオを3つ整理する。
最もシンプルで、最も感動的なシナリオ。ネッドの「Peter?」という一言が示したとおり、ピーターが自ら正体を明かせばMJの記憶は戻る可能性がある。続編では「ピーターがMJに話す決心をする」という場面が感情的なクライマックスとして機能するはずだ。
ただし、記憶が戻っても「すぐに元の恋人関係に戻る」ことにはならないだろう。MJには本作で別れた彼氏の存在もあった。4年間の空白があり、MJは今のMJとして生きてきた。ピーターとMJが関係を「最初から作り直す」過程が、続編の縦軸になると見る。
本作のポストクレジットシーンでは、宇宙でスパイダーマンの反応が捉えられ「スパイダーマンは帰ってくる」というテロップが流れた。12月公開の「アベンジャーズ/ドゥームズデイ」、そしてその後の「シークレット・ウォーズ」でのマルチバース的な解決が示唆されている。
マルチバースが絡む大規模な出来事によって、ドクター・ストレンジの呪文自体が巻き戻される可能性もある。2代目・3代目スパイダーマン(マグワイア版・ガーフィールド版)の再登場も視野に入れると、「マルチバースでの記憶の再編」という形で全員の記憶が回復するシナリオも否定できない。
最も「ブランド・ニュー・デイというタイトルに忠実」なシナリオ。ピーターが正体を明かしてMJに過去の記憶が戻ったとしても、「新しい始まり」として関係を作り直す。本作のラストでMJが絵を描き、病院で心を開いたのは、「記憶がなくても魂の部分でつながっている」という示唆だ。
むしろ「記憶がない状態でピーターとMJが惹かれ合う」ことで、「二人の絆は運命だった」という証明になる。この展開なら、記憶の回復は感動のゴールではなく、物語の途中に置かれる一つの出来事になるだろう。
トム・ホランドが明かした「バトンの渡し方のビジョン」
本作公開に合わせてトム・ホランドは「次世代スパイダーマンへの交代について、バトンの渡し方の明確なビジョンがある」と発言している。これは「ピーター・パーカーの物語はあと1〜2作で区切りを迎える」可能性を示唆している。
だとすれば、MJの記憶問題は「トムホ版スパイダーマンが終わる前に必ず解決される」ラストのピースだ。ピーターがMJに正体を明かし、二人が新しい形の関係を手にするところで、一つの章が閉じる——そういう構造に向かっていると考えるのが自然だ。
よくある疑問
- MJがピーターを忘れているのはノー・ウェイ・ホームでドクター・ストレンジが「全人類からピーター・パーカーの記憶を消す」呪文を行ったから
- ネッドが先に思い出せた理由は「ピーターが自らネッドに正体を明かした」こと——これが呪文の解除条件
- MJの記憶が戻っていないのは、ピーターがまだMJに正体を明かしていないため。意図的な「未解決」であり続編への最大の伏線
- ラストでMJが絵を描くシーンは「記憶はないが魂で感じている」という無意識の引力の表現
- 「ブランド・ニュー・デイ」のタイトル通り、記憶回復後も「元通りに戻る」のではなく「新しく始まる」展開が予想される
- トム・ホランドの「次世代へのバトンの明確なビジョン」発言から、MJの記憶問題はトムホ版の最終章で必ず回収されると見られる
