チュニジアって
どんな国?
青と白の絶景、世界遺産の古代遺跡、サハラ砂漠、スターウォーズのロケ地、クスクス——ヨーロッパにもアジアにも似ていない、唯一無二の国を丸ごと解説します。
チュニジアを一言で言うと
チュニジアはアフリカ大陸の最北端、地中海に面した国だ。南にはサハラ砂漠が広がり、北は地中海性気候の穏やかなリゾート地帯。面積は日本の約43%で、人口は約1,200万人。
「アフリカ」と聞くとサバンナや密林をイメージするかもしれないが、チュニジアはまったく違う。フランス植民地時代の影響でカフェ文化が根付き、街並みはどこか南ヨーロッパを思わせる。アラブ・ベルベル・フェニキア・ローマ・オスマン・フランスと、幾重もの文明が積み重なった独特の文化を持つ。
「ヨーロッパとアフリカのちょうど間にある——チュニジアはどちらでもなく、どちらでもある国」
地中海の対岸はイタリアのシチリア島で、直線距離わずか150km。そのため古くから地中海交易の要衝として繁栄し、紀元前9世紀にはフェニキア人がカルタゴを建設、その後ローマ帝国が支配し、イスラム勢力が進出し、オスマン帝国が統治し、フランスが植民地化した——という複雑な歴史を持つ。
チュニジアの主な見どころ
「チュニジアン・ブルー」と呼ばれる青と白だけで統一された美しい街。首都チュニスの北東約20km、地中海を見下ろす断崖の上に位置する。1915年という非常に早い段階で景観保護令が施行され、この美しさが保護されてきた。パウル・クレーやアンドレ・ジッドなど多くの芸術家を魅了した街としても知られる。チュニジア観光のハイライト。
紀元前9世紀にフェニキア人が築き、かつてローマと地中海の覇権を争った古代都市カルタゴの跡地。アントニヌス浴場・円形競技場・ローマ劇場などが点在し、「ビュルサの丘」からは青く輝く地中海を一望できる。首都チュニスのすぐ近くにあり、日帰りで訪問できる。
メッカ・メディナ・エルサレムに次ぐ第4の聖都といわれる街。グランド・モスクや旧市街を囲む城壁があり、神聖な雰囲気が漂う。カーペットの名産地としても有名。
チュニジア南部に広がるサハラ砂漠。オアシス都市トズールやドゥーズを拠点にキャメルライド・バギードライブ・砂漠の夕日観賞などのアクティビティが楽しめる。スターウォーズのロケ地でもあり、映画ファンの聖地になっている。
スターウォーズの惑星タトゥイーンの多くのシーンがチュニジアで撮影された。アナキン・スカイウォーカーの生家のセットが残るオング・エル・ジュメル(トズール近郊)、奴隷居住区として使われたクサール(メドニン)、穴居式住居を使ったマトマタなど。世界中からファンが訪れる聖地巡礼スポット。
チュニジアを代表するビーチリゾート。北側に広がる白い砂浜と、世界遺産に登録された旧市街(メディナ)の両方が楽しめる。年間を通してヨーロッパからの観光客で賑わう。
チュニジアで食べるべきもの
チュニジア料理はアラブ・ベルベル・地中海・フランスの食文化が融合した独特のもの。香辛料を使った料理が多く、辛めのものも多い。
北アフリカの代表的な料理。粒状のパスタ(セモリナ粉)に野菜・肉・スパイスを合わせたもの。チュニジアでは家庭料理の定番。
薄い生地に卵・ツナ・パセリを包んで揚げた料理。チュニジアを代表するストリートフードで、外はパリパリ、中からとろりと卵が出てくる。
モロッコのタジン鍋とは別物。チュニジアではオムレツ風の焼き料理を指す。卵・肉・野菜・チーズを混ぜてオーブンで焼いたもの。
チュニジア発祥の赤唐辛子ペースト。パンに塗ったり料理に混ぜたりと万能な調味料。チュニジア料理の辛さの源泉。お土産にも人気。
甘くて濃いミントのお茶。食後や来客時に欠かせないおもてなしの飲み物。松の実が入っていることも多い。
イスラム教国だがワイン生産の歴史は古い。フランス植民地時代から続く産業で、地中海性気候を活かした白・赤ワインが国内で醸造されている。
ハリッサはチュニジアのソウルフード。2022年にユネスコ無形文化遺産に登録されたほどチュニジアにとって重要な食文化。日本でも輸入品が手に入るようになっており、お土産として大人気。辛いものが好きな人は必食。
チュニジアの波乱万丈な歴史
チュニジアは地中海の要衝に位置するため、古代から多くの文明が交錯した土地だ。その歴史は日本とは比べ物にならないほど複雑で、それが現在の「多層的な文化」を生み出している。
カルタゴとローマの激闘
紀元前9世紀、フェニキア人が現在のチュニスの北東にカルタゴを建設。カルタゴはやがて地中海の覇権をめぐってローマ帝国と激突する——これが「ポエニ戦争」だ。英雄ハンニバルが象を連れてアルプスを越えたことでも有名。しかし最終的に紀元前146年にカルタゴはローマに滅ぼされ、その後はローマの属州「アフリカ」の中心として栄えた。
イスラム化とアラブ文化の融合
7世紀にアラブ・イスラム勢力が進出し、北アフリカはイスラム化される。チュニジアのイスラム文化は非常に古く、ケロアン(カイルアン)は「第4の聖都」と呼ばれるほどイスラム世界における重要な都市となった。その後オスマン帝国の支配を経る。
フランス植民地時代と独立
1881年にフランスの保護領となり、フランス文化が深く根付いた。フランス語が広く話されるのはその名残だ。1956年に独立を果たし、ハビブ・ブルギバ初代大統領のもとで急速な近代化が進む。女性の権利保護や世俗的な政策でアラブ世界では先進的な国とみなされた。
ジャスミン革命——アラブの春の発端
2011年、チュニジアで「ジャスミン革命」が起きた。失業や汚職への市民の不満が爆発し、ベン・アリ大統領が約23年の独裁政権を終わらせて亡命。これが「アラブの春」の引き金となり、エジプト・リビア・シリアへと波及した。チュニジアはアラブの春の中で最も民主化が進んだ国として注目され、2015年には「チュニジア国民的対話カルテット」がノーベル平和賞を受賞した。
チュニジアへ行く前に知っておきたいこと
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ビザ | 日本国籍は観光目的で90日以内ビザ不要 |
| 通貨 | チュニジア・ディナール(TND)。日本国内での両替不可。現地空港・銀行で両替。ユーロやUSドルを持参すると便利。 |
| 気候 | 沿岸部は地中海性気候で夏暑く冬温暖。7〜8月はほぼ雨なし。内陸・砂漠部は昼夜の寒暖差が大きい。 |
| 言語 | アラビア語が公用語。フランス語が広く通じる。観光地では英語も通じることが多い。 |
| 宗教 | イスラム教国。ラマダン中は昼間の飲食に注意。肌の露出を控えめにするのがマナー。 |
| 電圧 | 230V・50Hz(日本は100V)。変圧器が必要。 |
| チップ | レストランでは5〜10%が目安。タクシーはお釣りをそのまま渡す習慣がある。 |
| 安全情報 | 首都チュニスや観光地は危険レベル1(十分注意)。南部・西部の国境地帯は危険レベル2〜3。最新の外務省情報を確認すること。 |
外務省によると、南部と西部は危険レベル2「不要不急の渡航中止」、南東部から北西部の主に国境沿いは危険レベル3「渡航中止勧告」。チュニス・スースなど主要観光地は危険レベル1。旅行前に外務省の海外安全ホームページを必ず確認してください。
チュニジアの豆知識:「チュニジアン・ブルー」として知られるシディ・ブ・サイドの青い扉の色は、1915年に景観保護のために法令で定められたもの。これは世界初の景観保護令の一つとされており、その先進的な取り組みが100年後の今も美しい街並みを守り続けている。
