アンキャニーブラザーズ（Uncanny Brothers）は、SNS上で公開されている短編ホラーシリーズです。アルバ出身の兄弟ジェイデン・クロースとギルマー・クロース（通称Croes Bros（クロース・ブロス））が制作・主演しており、その不気味で奇妙な作風が世界的な話題を呼んでいます。各エピソードは1分未満の非常に短い動画ですが、予想外の大ヒットとなり、シリーズ累計再生回数は全プラットフォーム合計で10億回を超えるほどの社会現象となっています。SNS発のホラーコンテンツとして異例の成功を収めており、ジャンルは「ホラー（短編映像）」に分類されます。
あらすじ・設定
アンキャニーブラザーズは、毎回2人組の不気味な兄弟が登場し、無防備な人々に恐怖をもたらすオムニバス形式の短編ホラーです。
各エピソードごとに舞台や被害者は異なり、平穏な日常が突如として悪夢に変わる様子が描かれます。例えば、あるエピソードでは小旅行に訪れたランニング愛好家のインフルエンサーが、この謎の兄弟に取り憑かれて恐ろしい目に遭う展開になっており、他のエピソードでも日常のシチュエーションが一瞬でホラーに転じます。
物語に連続性はありませんが、共通して登場するのが“アンキャニー（不気味）”な双子の兄弟です。彼らは異様に無表情で不自然な雰囲気を放ち、人間離れした動きや笑みで被害者を追い詰めていきます（シリーズ名の「アンキャニー」は、人間に酷似しているがどこか異様に感じる「不気味の谷（Uncanny Valley）」現象に由来します）。
登場人物・キャラクター
- アンキャニーブラザーズ：本シリーズの中心となる謎の兄弟。演者は製作者でもあるジェイデンとギルマーのクロース兄弟自身です。作中では名前こそ明示されませんが、2人組の悪役の兄弟として毎回登場し、異様な扮装と雰囲気で人々に襲いかかります。無言で現れたり、不気味な笑みを浮かべながら追跡してくるなど、その姿は視聴者に強烈な不安感を与え、「不気味の谷」に迷い込んだような恐怖を体現する存在です。
- 被害者たち：各エピソードごとに異なる一般の人々が登場し、アンキャニーブラザーズの犠牲者（ターゲット）となります。被害者のキャラクターは若者から家族連れまで様々ですが、多くは平凡な日常生活や娯楽の最中に兄弟と遭遇し、逃げ場のない恐怖に陥れられます。各話が短いため人物描写は最小限ですが、視聴者は被害者の主観に近い視点で物語を追体験し、突然現れる怪異に驚かされる構成になっています。
制作背景
制作の経緯：もともとCroes Brosとしてコメディ系の短い動画で人気を博していたクロース兄弟ですが、2023年末頃にSNS上で流行した「不気味の谷」チャレンジをきっかけにホラー路線の動画制作を始めました。彼らが試しに投稿した不気味な短編動画は想像以上の反響を呼び、InstagramやTikTok、YouTubeなど各SNSで合計7,500万回以上再生され、「いいね」も500万件を超える大バズりとなりました。この思いがけない成功に兄弟は驚きつつも手応えを感じ、以降ホラーコンテンツに本格的に取り組むようになります。それまでコミカルな映像で知られた彼らが、ホラーという新ジャンルへの挑戦で創作の新境地を開拓した形です。
シリーズ名の由来：初期の頃、シリーズに正式な名称はありませんでした。しかし配信するホラー動画が急速に人気を高め、公式グッズ展開を始める段階でシリーズ名を定める必要が生じます。ファンの間では最初の発端である「不気味の谷（Uncanny Valley）」にちなみ「Uncanny～」と呼ばれ始めていたこと、そして制作者であり劇中でも兄弟という設定に基づき、「アンキャニーブラザーズ（不気味な兄弟）」と名付けられました。このタイトルが示す通り、実際の兄弟である2人が怪奇な兄弟役を演じる点がシリーズの肝となっています。
制作体制：アンキャニーブラザーズの制作は小規模ながら非常に入念です。各エピソードの長さは数十秒からせいぜい1分程度ですが、企画から撮影・編集まで約2～4週間をかけ丁寧に作り込まれています。脚本や絵コンテ作成、出演者のキャスティングから撮影・編集に至るまですべて兄弟自身が手掛けており、大掛かりなスタッフは雇わずに家族ぐるみの協力で制作しているのも特徴です。
撮影日には父親がカメラマンを務め、母親が特殊メイクを担当し、2人同時に映る場面では従兄弟がカメラ補助を担うなど、まさに家族総出で作品を作り上げています。
30秒程度の短い動画でも撮影には最大8時間を要し、平均して「準備に約2週間＋撮影1～2日＋編集1～3日」というサイクルで1本のエピソードが完成するとのことです。このように少人数ながら映画さながらの熱意で制作されている点も、作品のクオリティや雰囲気に大きく貢献しています。
話題性
アンキャニーブラザーズはSNS発のコンテンツとして、その爆発的な話題性が大きな特徴です。初投稿のホラー短編が瞬く間に数千万規模の再生・高評価を記録して以来、各プラットフォームで急速に拡散されました。
エピソードを重ねるごとに視聴者も増え、「次は何が起こるのか」と世界中のフォロワーが注目するシリーズへと成長しています。実際、シリーズ全体の累計視聴回数は2024年時点で早くも14億回に達し、Instagramに投稿された第4話の動画はいいね数200万件以上、第6話では500万件以上に到達するなど驚異的なエンゲージメントを叩き出しました。
これほどの反響規模は、SNS由来の短編ホラーとして極めて異例であり、アメリカを中心に「新時代のショートホラー現象」として取り上げられるまでになっています。制作するクロース兄弟自身も「回を追うごとに反響が大きくなり、まるで自分たちの実験的ホラーがポップカルチャー上の現象になったようだ」と述べており、その言葉通り現在では世界的なバイラルヒット作品として定着しました。
評価・反響
ユーザーや視聴者からの評価も概ね好評で、恐怖演出のクオリティや発想力が称賛されています。特にSNS世代ならではの新感覚ホラーとして受け入れられ、短い尺にも関わらず「手に汗握る」「ゾッとした」といった感想が多く寄せられました。
映像や特殊メイクの完成度も高く評価され、コメント欄では「まるで映画のワンシーンを見ているよう」「短いのにインパクトがすごい」といった声が見られます。また、シリーズの人気上昇に伴い長編映画化を望む声も強くなっており、投稿のコメントには「映画版が見たい！」「このまま映画化決定だね」などの反響が殺到しました。
事実、兄弟のもとにはハリウッドの映画業界関係者からもアプローチがあり、将来的な映画化の可能性が現実味を帯びています。総じてアンキャニーブラザーズは、「短尺ホラーの概念を覆した革新的コンテンツ」として好意的に受け止められており、そのクリエイティブな挑戦はホラーファンのみならず幅広い層から支持を集めています。
関連情報
グッズ展開：シリーズの人気を受けて、兄弟は公式グッズライン「Uncanny Collection」を立ち上げています。Tシャツやキャップなどの限定商品を販売し、多くのファンが購買しています。このグッズ展開開始時にシリーズ名が正式決定した経緯もあり、ファンにとって作品とグッズが連動した盛り上がりを見せました。
映画化と今後の展開：クロース兄弟は「アンキャニーブラザーズ」の長編映画化を目指しており、実際に多くのファンから映画化を望むコメントが寄せられています。既に映画業界のエグゼクティブからも注目されているといい、兄弟は積極的にプロジェクトを模索中とのことです。今後、映画化が実現すればSNS発ホラーがハリウッド進出する快挙となり、さらに話題を呼ぶことが期待されます。
制作者の背景：ジェイデン・クロース（1998年生）とギルマー・クロース（1993年生）の兄弟は、アルバ島出身のインフルエンサーです。TikTokでコメディ動画を投稿して数千万人のフォロワーを獲得し、YouTubeチャンネル「CroesBros」でも人気を博していました。
幼少期から動画制作に親しんだ彼らは、陽気な笑いを提供する存在として知られていましたが、本シリーズで一転してホラーアイコン的な地位を築き上げました。好きなホラー映画に『ハロウィン』『サイコ』『スクリーム』等を挙げ、ホラー界のレジェンドであるマイケル・マイヤーズやジェイソンのキャラクター性に影響を受けているとも語っています。
今やホラー界からも注目される若手クリエイターとなった兄弟ですが、「兄弟で力を合わせてクリエイティブな作品を生み出し、人々にインスピレーションを与えたい」という原点の想いは変わらず、これからも斬新なコンテンツ作りに挑戦していくと述べています。
