あの村,どこなんだろう……?

『ガンニバル』ってめっちゃ怖いけど、あの“供花村”って実在するの?



あの雰囲気、リアルだもんね。でも実は、岡山県が舞台設定なんだ。
2022年にディズニープラスで配信され、SNSを中心に話題を集めたドラマ『ガンニバル』。
主演・柳楽優弥さんの演技もさることながら、山間の閉鎖的な村――供花村(くげむら)の空気感がリアルで、視聴者の心を掴みました。
でもこの「供花村」、一体どこにあるのか?実在するの?
気になった方も多いはずです。
今回は『ガンニバル』の舞台の設定とその裏側、そして実際のロケ地について徹底的に掘り下げていきます。


供花村とは?──物語の中心となる“村”
まず、『ガンニバル』の舞台となるのは、山奥にある小さな村「供花村」です。
ここに警察官の阿川大悟が妻子とともに赴任してくるところから、物語が始まります。
この村にはある“噂”が流れている――
「この村では、人が人を食っている」
そう、大悟は人食いの村に足を踏み入れてしまったのです。
供花村は、電波が通じにくく、外部との交通も困難な“限界集落”。
住民たちは閉鎖的で、よそ者に対してあからさまな敵意を向けることも。
そんな得体の知れない空気が、ドラマ全体の“狂気”を支えているのです。
舞台設定は岡山県!公式が示した住所
『ガンニバル』のドラマ公式サイトを見ると、供花村の住所が次のように記載されています。
岡山県諸辺郡供花村3-16
参考:ディズニープラス特設サイト(供花村観光協会)
これはもちろん架空の地名なのですが、“岡山県”という舞台設定が明確にされています。
さらに、作中の警察車両には「岡山県警」の文字がはっきりと描かれており、パトカーのデザインも岡山県の仕様に寄せられています。
方言も完全な岡山弁ではないものの、岡山弁をベースにした“架空方言”といった印象。
地元民には「そこまでリアルじゃない」と言われつつも、視聴者には「それっぽい」と感じさせる絶妙な調整になっています。
“岡山”という土地が持つ背景
『ガンニバル』が岡山県を舞台にしているのには、ひとつの理由があるといわれています。
それは、「津山事件」。
1938年、岡山県津山市で発生した大量殺人事件です。
夜の村で30人近くが殺害され、事件は今なお“日本犯罪史上最悪の事件”のひとつとして知られています。



この事件をモチーフにした作品は意外と多く、村社会×恐怖という要素と結びつけやすいんです
『ガンニバル』の供花村も、そんな外部との断絶・閉鎖性・異常性をテーマにしており、「岡山」という選択は意図的なものと言えるでしょう。
また、山林が多く、都市部からも隔絶された地域が存在する岡山は、「人里離れた場所」という舞台装置としても機能します。
撮影地は岡山じゃない!?実際のロケ地とは
ところが――。
実は『ガンニバル』の撮影は岡山では行われていません。
ドラマのロケは全国数か所で行われており、以下のような場所が確認されています。
ロケ地 | 使用された場面 |
---|---|
三重県熊野市 木津呂 | 村の全景や山間の集落 |
兵庫県養父市(大庄屋記念館) | 後藤家の家屋・屋敷周辺 |
長野県伊那市 入笠牧場 | 墓や自然シーン |
つまり、
- “舞台設定”は岡山県(公式明言)
- “ロケ地”は三重・兵庫・長野など
と役割が完全に分かれているわけです。
この演出手法、実はよく使われていて、
「視聴者に“岡山っぽさ”を感じさせつつ、撮影条件や風景美から別の土地で撮る」
というのは非常に現実的な判断と言えます。
📍 供花村の主要ロケ地まとめ
『ガンニバル』では、供花村のさまざまなシーンに合わせて、異なる場所が撮影に使われました。
以下は、確認されている主なロケ地です。
① 三重県熊野市 木津呂(きづろ)地区
- 📸 使用シーン:供花村の集落全景、空撮、山間の道
- 🌄 特徴:熊野川に囲まれた“中洲状の村落”で、外部から隔絶された独特の地形が印象的
- 🧭 アクセス:熊野市の山奥、JR瀞流荘駅からもアクセス困難
木津呂は、三重県でも特にアクセスが悪く、外界から切り離されたような空間。
Googleマップの航空写真で見ても、まるで“川に囲まれた島”のように見える場所で、実際に現地を訪れたファンの間でも「供花村のモデル地では?」と話題になっています。
② 兵庫県養父市 大庄屋記念館(旧・名家の屋敷)
- 📸 使用シーン:後藤家の屋敷、村の古びた建物
- 🏡 特徴:江戸時代の庄屋屋敷をそのまま保存した施設で、重厚な建築が村の“権力構造”を象徴
- 🎥 映像の雰囲気:木造でやや薄暗く、静けさがあり、不気味さにぴったり
後藤家という“村の支配者”の住処として、伝統と重厚感、そしてどこか古臭く威圧的な雰囲気が必要だったのでしょう。
この庄屋建築の空間性は、村の過去と狂気を象徴する舞台として見事にハマっていました。
③ 長野県伊那市 入笠牧場
- 📸 使用シーン:自然風景、後藤銀の墓、見晴らしの良い山
- 🌿 特徴:草原、森、山岳地形が広がる高原地帯。晴れた日は壮大な眺望が可能
- ☁️ 雰囲気:どこか寂しく、広いが「逃げ場のない空間」として機能している
ドラマでは、自然がとても印象的に描かれており、「人間の恐怖」の裏にある「自然の圧倒的な無関心さ」が表現されていました。
入笠牧場の静かな風景は、登場人物の孤独感や無力感を浮き彫りにするのにぴったりのロケ地です。
🤔 なぜ岡山で撮らなかったのか?
① 撮影条件や自治体の協力
映像作品のロケ地選定では、自治体の撮影協力姿勢や道路使用許可の取りやすさが重要です。
山間部の道路や民家で撮影するには、地域住民との調整も不可欠です。
三重県熊野市や長野県伊那市は、映画やドラマのロケ地としての実績もあり、撮影クルーの受け入れ態勢が整っていたと考えられます。
② “見た目が岡山っぽければOK”
ロケ地の最大の条件は、「視聴者にとってリアルに見えるかどうか」。
たとえ岡山で撮影しなくても、視聴者が“ああ、岡山の山奥っぽい”と感じられれば成立します。
その意味で、熊野市や伊那市の風景は“岡山の山間部っぽさ”を演出するのに十分だったのでしょう。
③ 撮影スケジュールや交通インフラの問題
撮影は短期間で多くのシーンを撮る必要があるため、天候・交通・宿泊などの条件が良い地域が選ばれる傾向にあります。
岡山県の山間部での撮影が困難だった、あるいはロケハンの時点でより魅力的なロケ地が見つかった可能性も考えられます。
🧩 供花村の“モデル地”はどこなのか?
舞台設定は岡山県ですが、実際に「供花村のような場所はどこか」と問われたとき、ロケ地である木津呂地区はまさに「理想的なモデル地」とも言える存在です。
- 川に囲まれた集落 → 外界との遮断
- 山奥 → 情報や助けが届かない
- 少人数集落 → 閉鎖性と同調圧力
この“3つの条件”をすべて満たしているのが、熊野市木津呂。
供花村をビジュアル化するには、これ以上ない舞台でした。
🧠 舞台とロケ地を分けることで得た効果
『ガンニバル』が舞台(岡山)と撮影地(他県)を分けたことには、大きな意義があります。
- 地域性をストーリーに生かす(岡山=津山事件)
- 映像美・演出を最大限発揮(熊野市や養父市の景観)
- 全国の視聴者に“あの村、本当にあるかも…”と思わせるリアリティ
視聴者にとっては「もしかしてウチの県かも…」という不安や妄想がかき立てられ、作品の恐怖がより一層深まります。